Ⅰ have a dream
ミャンマーやチベットを気にしつつ、先週末、次作の関連取材で所沢へ。帰路、青山学院大学主催の対談を聞くため、築地の朝日新聞社内にある、【浜離宮ホール】に行ってきた。
5月9日夕刻。登壇したのは、宗教哲学を専門とするプリンストン大学のコーネル・ウェスト教授と、各方面で活躍中の政治学者、東京大学教授の姜尚中のお二人で、対談のタイトルは《 異なるものとの共生 》
※思えば我が人生、青山学院との御縁は深く、渋谷で店を営業していた頃は、短大国文科や英文科の先生方をはじめ、事務局の方も、多々、御来店いただいた。二度にわたった出版記念会や、開店一周年記念パーティも、附属の『アイビーホール』を使わせていただき、今回のチケット入手も、学院学生課の西川豊さんの御助力あってのことだった。青山の皆さん、ありがとう!
加えて、今回の会場の総支配人は、長年の友人でもあり、うれしいビンゴに押されて出向いたところ…素晴らしい対談に感動!
冒頭、ウェスト氏は、たたみかけるような調子でいった。
「勇気が必要だ!すべては勇気をもって、物事を批判的に見ることからはじまる!」
聴衆すべてを煽るようなリズムの語りは続いてゆき、
「人生には痛みがつきものだが、個人においてもそうであるように、国においても、自身の最も深い、闇の部分を見つめる勇気が必要だ。アメリカでは、先住民に、黒人に、ヒスパニック系に、性的に、階層的に差別されている人たちに対して、どのように関わってきたか。皆が避けて通ろうとするその闇を見つめないかぎり、人も国も、同じ過ちを繰り返すだろう。日本では、アイヌに、沖縄に、在日に対して、どう関わってきたのか」
photo by Hiroshi Nirei↓
ベストセラーを多々上梓している彼は、マルチな才人らしく、ラップのCDも発売しているとのこと。スーパー・ラッパーの口調に気おされてか、常とは違うトーンで姜氏が応えた。
「ウェスト氏は、限定的な範囲のナショナリズムと、普遍的なものを同時に追い求めている方のように思うが、
率直にものをいうことの大切さも、知らされた。これまで自分は婉曲にいわざるをえないと思っていたが、まわりくどい言い方はもうやめようという気持ちになっている」
次いで、
「イギリスから独立したアメリカはrevolution(革命)を、日本は近代化に移行する際、restoration(維新)というゆるやかな変化を経験しているが、無血移行のほうが望ましい」
という認識のもと、
「世界に大きな影響を与えている日米両国は、今、民主主義を活性化させるためのエネルギーが、停滞しているようにみえる」
と述べ、日本の秩序は『天皇制』の下で保たれていると発言したところ、ウェスト氏が刺激的な切り返しをした。
「アメリカに天皇はいないが、巨大な軍事パワーに対抗する、ピープルズ・パワーが働いている。中でもブルースマンやジャズマンといったアーティストの働きは重要で、ルイ・アームストロングや、BB・キング、ジョン・コルトレーンや、スティービー・ワンダーらは、単なるエンターティメントではなく、迫害の歴史を昇華した、民主主義の守り手たちだ」
加えてロシアの作家、チェーホフの名前もあげて、
「『桜の園』や『三姉妹』にもあるように、ごく普通の人達の暮らしにみる、忍耐や痛みへの共感を持つことも重要だ」と述べ、
民主主義をcultural way of being と定義づける彼は、アイデンティテイとは、たえず構成してゆくものであるといい、何より、国より先にヒューマニティがあると言い切った。
アメリカで公民権運動を率いた、キング牧師が暗殺された時、彼は10歳だったとか。
「クリスチャンでもある自分は、どの国の旗の下にあるかということより、“愛”の下にある」さらには、
「アメリカ人の方がイラク人より偉いとか、ガテマラ人より偉いとか、エチオピア人より偉いとかいう考え方もあるが、自分はヒューマニティを無視する主義を持ち上げようとする考え方に、反感を覚える」といい、9.11以降についても語りはじめ、

「アメリカでは、今、不安が募っている。テロにやられるのではないか、迫害にあうのではないかと。しかし黒人は400年間、アメリカ社会で同じような思いを経験し、黒人版のアルカイダも、KKKもつくらなかった」
尊い念押しのような言葉はさらに続いてゆき、
「傷つけられたから傷つけるのではなく、ヒーラー(癒し手)になれ。痛みを経験したことで何を学んだのか」
「イミテーション的生き方は、自殺行為だ、クリエーションが必要だ」
等々、学者というより、アーティストといいたい彼の勢いはとどまるところを知らず、当初は長いと思った二時間半が、あっという間に経過する!
で、このところ…前頭葉が割れっぱなしの感ある私は…当代の知識人二人を前にして、超僭越ながら、思ってしまったのだ(私が辿ってきた道は…時に愚かで、ぐちゃぐちゃだったけど…方向性は間違っていない!)
思えば我が喜びは、現実社会の真只中で、与えられてきたものだった。そして、パンに飢える者に対してはパンを与え、パンにおごっている者に対しては、【人はパンのみに生きるにあらず】といって看破した、スーパー・パンクのキリストも、現実の真只中で生き、十字架を通して愛を示したのだ。であれば…などと思っていたら、
質疑応答の時間、滞米経験の長い日本人の僧侶から、「同じもののほうが楽という気持ちになりがちだが、違うものを楽しめるようになるためには、どうしたらいいのか」という声があがった。
ウェスト氏いわく、「同じと違うは、車の両輪のように不可分だ。違うことを語るためには、同じ部分を知らなくてはならず、逆もある。その両方を受け入れるためには、禅の瞑想も有効だろう」
姜氏いわく、「ナチスも然りだが、同じものだけ尊ぶ思想は危険だ。生物学的にはどうかわからないが、人間は他者を必要とするようにつくられているのでは。同じものだけが集まると、互いに食い合ってしまうのかも」
ラストは全員立ち上がり、ウェスト氏の野太い声のリードで♪We shall over come~を歌ってお開きに。
直後、私の隣りにいた大学生(?)二人の会話に、思わず微笑。
「俺、姜尚中、好きだな」「俺も。二人の話は全然わかんなかったけど」「うん、けど、なんかうれしいよな」
その後、浜離宮ホールを仕切る我が友、濱吉正純さんこと、通称「ハマちゃん」と合流し、ホール運営や、アーティストの役割等について、熱く語りあう。
※ハマちゃんは、学芸部時代、堂々の記事も書いていた人だが、今はパフォーマンスの季節らしく、名刺の裏には↑こんなイラストもあり(!)オリジナル人生を楽しむ、シンプル・ハートフルなナイスガイにも感謝で、see you again !
他にも御紹介したい方や、書きたいことは山ほどあり、追々、アップしてゆく予定ではあるけれど…心の水位をあげてきたオネーサンは、今回の対談効果もあって、ほんちゃん勝負の原稿に向かって、火がついたような。夏が山…などとつぶやきながら、❤マークの鉢巻を、またぞろ締め直したのでした。
※お知らせ。アップ後の記事に手を入れること度々で、工事中の、お見苦しいシーンを目撃された方もおられるかと。ブログは“瞬時”が命だけど、再チェックしてくださると、なおうれし。もろもろ御容赦で、ごめんなさい。次回からは、変則テーマで変則アップとなりそうですが、今後とも、よろしくね!
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